【実録】会社を辞めてUber Eats一本にした結果。収入・税金・後悔ポイントまで全部公開

目次

1. はじめに:なぜ会社を辞めたのか

「もっと自由に働きたい」
「この仕事を一生続けるのは違う気がする」

そんなモヤモヤを抱えながら、私は毎日会社に通っていました。

勤めていたのはインフラ系の安定企業
上司や同僚との関係も悪くなく、給料も申し分ない、いわゆる「ホワイト企業」に分類される職場だったと思います。
それでも心のどこかで、
「このまま定年まで働く自分」を想像すると息苦しいと感じていました。

将来を想像させたのは、生活残業を当たり前にこなし、定年後も「この会社にしがみつく」と言う上司や先輩たちの姿。
若い頃から「いつか自分で会社を経営したい」という夢があった私は、もっと自分の力で挑戦したいという気持ちを抑えきれなくなっていました。

とはいえ、いきなり起業するのはリスクが高い
顧客も経験もない状態で飛び込むのは無謀だと分かっていました。
そこで選んだのが、「個人で稼ぐ経験を積む」ためのUber Eats配達員です。

最初は「ダメなら何でもやる」と決意して飛び込みました。
しかし蓋を開けてみると、予想以上に売上が立ち、結果的に会社員時代と同じ年収(約500万円)を達成
経験を積むうちに効率的な店舗やルートも把握でき、仕事はどんどん楽になっていきました。

そして何より――
働く時間を自分で決められる自由さと、人間関係のストレスがない快適さ
これは会社員時代には絶対に手に入らなかったものでした。

2. 専業配達員になって最初の月のリアル

会社を辞めて、Uber Eatsを専業で始めた最初の月
結果から言うと、初月(4週分)の売上は450,011円でした。

初週からフル稼働

とくに印象に残っているのが最初の週
アプリに慣れず、手探りな状態で稼働したのですが、なんとか201件の配達で107,156円を売り上げました。
1日あたり平均28件ほど配達していたことになります。

右も左も分からない状態からのスタートでしたが、日を追うごとにお店の場所や効率の良いルート、注文が入りやすいエリアなどが少しずつ分かってきました。
その結果、週ごとの売上も自然と伸びていき、5週目には264件の配達ができるようになりました。

売上からの実際の手取りは?

Uber Eatsの売上は、「税抜き・経費差し引き前」の金額です。
そのため、経費を差し引くと、実際の手取りはもう少し下がります

  • 売上:450,011円
  • 経費(ガソリン代・消耗品など):約70,000円
    (内訳:ガソリン代 42,517円、残りは配達バッグや車関連費)
  • 手取り:約380,000円

税金は翌年の確定申告で発生するため、初年度はあまり負担になりませんでした。
経費の内訳や税金の詳細については、次項 「経費と税金の現実」 で詳しく解説します。

働いた時間は?

この月はWoltへの登録手続きや、開業届の作成・提出Amazonで配達用備品を購入・受け取りなど、配達以外にもやることが山ほどありました。

「じゃあ何時間くらい働いたの?」と聞かれると、正直よく分かりません
というのも、仕事とプライベートの境界があいまいになったからです。

YouTubeで開業方法や確定申告の動画を見たり、Amazonが来るまで書類作成をしたり…
そういった時間も含めると、1日15時間くらい「働いていた」と言えるかもしれません。

ただ、不思議なことに、その長時間もあまり苦になりませんでした。
むしろ、「自分の意思で働いている」という感覚が強く、やりがいを感じられる時間でした。

3. 経費と税金の現実

フードデリバリーで生活していくと、売上は目に見えて増えていく一方で、
実際に手元に残るお金はどれくらい?」と気になる方も多いと思います。

ここでは、2024年に専業として1年間稼働した私の収支データを元に、リアルな生活感をお伝えします。

経費は年間で 約169万円

2024年度の経費総額は、1,691,870円+α でした。
※「+α」は、このブログ運営に関わる少額の経費などです。

そのうち、ガソリン代が702,959円
年間走行距離が約6万キロだったため、かなりの割合を占めました。

残りの約100万円はほとんどが自動車関連費です。

  • 軽自動車の減価償却:約50万円
  • 車検:約10万円(ちょうど該当年に実施)
  • タイヤ代:夏・冬 各3.5万円
  • オイル交換、スパークプラグ交換、バッテリー交換
  • 任意保険、駐車場代
  • 配達専用スマホ代、会計ソフト代 など

これらはどれも必要経費で削りにくい部分です。
特に車を使う配達員は、売上が上がっても経費が比例して増える傾向があります。

売上6,830,394円 → 所得は約500万円

年間売上は6,830,394円でした。

ここからUber Eatsの経費(約169万円)ブログ関連の経費などを差し引くと、
ざっくり 500万円が事業所得 になります。

この500万円に対して、所得控除などを引いたうえで税金や保険料がかかってきます。

所得500万円にかかる税金と社会保険料(札幌市)

項目金額(円)備考
所得税約230,000円課税所得:約387万円(基礎控除48万+青色控除65万)
住民税約400,000円所得に対して約10%
国民健康保険(札幌市)約670,000円所得割+均等割+平等割
国民年金(第1号)約203,800円月16,980円×12ヶ月
合計約1,503,800円※地域によって変動あり

手元に残った金額(手取り)は約350万円

  • 売上:6,830,394円
  • 手取り:約3,500,000円

最終的に、売上のざっくり半分が自由に使えるお金になりました。

所感:やってみて感じたこと

正直、「こんなに税金と保険料が持っていかれるのか」と驚きました。

ただ、会社員時代は手取りから車やガソリン、駐車場代を払っていたため、
これらが経費として控除できるのはメリットです。

また、青色申告特別控除65万円基礎控除48万円を活用することで税額が減るのも助かっています。

4. それでも専業になってよかったこと

いろいろと大変なこともありましたが、「会社を辞めて専業になってよかった」と今は本気で思っています。
ここでは、実際に感じた「よかったこと」をリアルにまとめてみました。

頑張った分だけ収入に反映される

会社員時代は、どれだけ頑張っても評価には上限がありました。
上司に認められて評価が上がることもありましたが、最も良い「A評価」をもらえるのは部署で1人と決まっているような仕組み。

そのため、同じように努力している人が複数いれば、必ずしも適正な評価が得られるわけではありませんでした。

一方、Uber Eatsでは、頑張ったら頑張った分だけ収入として返ってくる
自分の努力がそのまま数字になって表れるのは、専業になって本当によかったと感じる点です。

毎週が給料日のように感じれる

会社員時代との一番の違いはこれかもしれません。
日々の配達で稼いだお金が、ほぼリアルタイムで口座に反映され、週の精算のたびに「今週の給料日」がやってくるような感覚になります。

さらに、複数のアプリを併用すれば収入が振り込まれる日が増え、より頻繁に「給料日気分」を味わえます。

会社員のように月1回まとめてもらうスタイルとは違い、稼ぎの成果がすぐ数字として返ってくる。
「お金を稼ぐってこういうことなんだ」と、いい意味で感覚が変わった瞬間でした。

目覚まし時計からの解放

専業になって最も大きく変わったことのひとつが、朝、無理やり起きなくてよくなったこと。
あの、目覚ましが鳴るたびに「あと5分…」と格闘していた日々がなくなりました。

今はアラームをセットすることもほとんどなく、自然に目が覚めたタイミングで一日が始まる生活。
これだけで、毎朝のストレスが大幅に減りました。

自分のペースで生活できる

休憩時間は完全に自由。
平日の昼間に銀行・病院・美容室・役所に行けるのもメリットです。

食事も、好きなときに、好きなものを
「今日はここまでにしよう」と思えばすぐ終われるし、夜ご飯を食べてお風呂に入ってから「もう一回稼働」もできます。

こうした柔軟な働き方ができることは、専業ならではの魅力だと思います。

人間関係のストレスがなくなった

会社員時代に地味にストレスだったのが人間関係

  • 気を遣う上司や同僚との距離感
  • 出たくない飲み会
  • 時間のムダに感じる会議や作業

そうした「仕方なく付き合う」ものが一切なくなりました。
仕事として人と会うのは基本、お店とお客さまだけ。それも短時間です。

健康とメンタルの改善

自分のペースで生活するようになってから、健康状態も明らかに改善しました。

  • 昼寝を取り入れて集中力が続くようになった
  • ストレスの少ない毎日で精神的にも安定
  • 風邪やノロにかかっても、許可なく自分の判断で休める

「体調が悪いときに休む連絡をしなくていい」というだけで、心の負担が大きく減ります。

学びと成長を実感

フードデリバリーを通して、想像以上に多くのスキルや知識が身につきました

  • 税金や保険の仕組みに詳しくなった
  • 経費管理・帳簿作成・確定申告を自分でこなせるようになった
  • 「給料をもらう」から「自分で稼ぐ」という意識に変わった
  • 起業意識の高い仲間や知人とつながれた
  • 配達中のオーディオブックやYouTubeで見識が広がった
  • 札幌の道路事情やお店情報に詳しくなった

一見、「ただ配達するだけ」の仕事でも、工夫次第で身につく力は多いと感じます。
やったことがそのまま自分の地力になり、それが
収入にも直結する
――これこそ専業配達員ならではの魅力だと思います。

総じて思うこと

もし「安定した会社を辞めるなんて…」と不安に感じている方がいたら、
少なくとも私は
「やってよかった」と今でも思っています。

もちろん全員にとっての正解ではないですが、
今の自分の生活に満足できているという点では、大きな一歩だったと感じています。

5. 後悔ポイント・つらい点

専業配達員としての生活には、もちろんデメリットや大変な面もあります
「これからやってみようかな」と思っている方には、良い部分だけでなく、こうした現実も知っておいてほしいです。

休みにくくなる“稼ぎどき”の魔力

雨や雪の日は依頼が増えて単価も上がるため、休むつもりでもつい稼働してしまいます。

・逆に休むと、「機会損失」を強く意識してしまい、罪悪感やもったいなさを感じてしまいます。

身体への影響

外での仕事なので日焼けは避けられません(特に夏場は日焼け止め必須です)。

交通事故のリスクもゼロではありません。

会社員にはあるけど、専業にはないもの

有給休暇やボーナス、福利厚生はありません

・休めば休んだだけ収入が減ります。

・会社が守ってくれるわけではないので、トラブルはすべて自己責任です。

お金まわりのハードル

・帳簿作成や確定申告を自分で行う必要があります。
 会計ソフトで簡単になったとはいえ、間違えると税金や社会保険料が高くなることも。

・会社員に比べて信用力が低くなるため、クレジットカードやローンが通りにくくなる場合があります

お客様対応のプレッシャー

・渋滞や店舗遅延で配達が遅れたとき、お客様から怒られることがあります。
 理不尽なケースも多々ありますが、直接お客様とやり取りする以上、避けられない一面です。

こうして見ると、専業配達員は自由と引き換えにすべてを自分で背負う働き方だといえます。
この部分を理解したうえで選ばないと、「思っていたのと違う…」となるかもしれません。

6. 会社を辞める前に知っておきたかったこと

会社員を辞めて専業配達員になる前に、準備しておけば良かったと感じることがあります。
これから同じ道を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

前年の収入に対する税金が翌年にやってくる

会社員時代の収入に対する住民税や所得税の請求は、退職後も普通にやってきます。
これを忘れていると、「思ったより請求額が大きくて焦る」ということになりかねません。

退職前におおよその金額を計算し、その分を別口座に避けておくと安心です。
私の場合は、退職後に約20万円の請求がありました。

引っ越し費用も計画に入れておく

生活スタイルが変わるタイミングで引っ越すなら、その費用もあらかじめ計算に入れておきたいところです。

私の場合は、以前の家具や家電を処分し、築3年の2LDKに引っ越しました。

  • 衣類宅急便 数箱+家賃管理費など:約10万円
  • 新しくベッドや家電を揃えた費用:20〜30万円

引っ越し代と新生活の初期費用を合わせると、合計30〜40万円ほどかかりました。

札幌は敷金・礼金なし物件が多く、仲介料も大家負担でゼロの場合がありますが、それでもまとまった費用は必要です。

社会保険料の請求が想像以上に大きい

退職後は、国民年金や国民健康保険の請求がまとめてやってくる場合があります。
会社員時代のように給与天引きではないため、請求額を見て驚く人も少なくありません。

専業配達員の収入から払えなくはありませんが、負担が大きいためあらかじめ資金を残しておくと楽です。
私の場合は、およそ30万円 かかりました。

すべてが自由になるという現実

専業になると、起きる時間・寝る時間・休憩時間・誰と会うか・いつ休むかまで、すべて自分で決められます。
一見最高のようですが、裏を返せば自己管理ができないと生活リズムや人間関係が崩れやすくなるということです。
健康診断や運動習慣なども、意識的にスケジュールに組み込む必要があります。

予期せぬトラブルに備えるための内部留保

天候不良や体調不良、事故、アプリの仕様変更など、収入が一気に減る可能性があります。
精神的な安心のためにも、生活費の3か月分は貯金(内部留保)として確保しておくと安心です。

ちなみに私は、ほぼゼロから稼働を始めましたが……(笑)

こうした準備をしておくことで、退職直後の金銭的・精神的な不安をかなり減らせます
専業配達員は自由度が高い一方で、不安定さもセットで付いてくる働き方です。
計画的な資金準備は、間違いなく心の支えになります。

7. 結論:辞めるのはアリ?ナシ?

私は、目が見えない方や身体が不自由な方のYouTube、末期がんの子どもや死が近い方が語る「後悔したこと」に関する本などを読み、「自分がどれだけ恵まれているのか」を改めて実感しました。

そのうえで、「やりたいことをやろう」と決心しました。

私にとっての幸福は、家族や子どもたちが幸せでいること、そのために自分が健康で活動できることです。
会社員を続けても生活は成り立ちましたが、より大切にしたいものを実現するために、専業配達員という道を選びました。

行動した結果

もちろん、大変なことや不安定さもありました。
それでも、「辞めてよかった」という気持ちが、今は間違いなく強いです。

特に――

  • 労働組合の活動
  • 無駄だと感じる会議
  • やりたくないことを我慢してやる日々全般

こうした、本来は大切な人のために使いたい時間を削ってまで続けていたことから解放されたのは、私にとって非常に大きな変化でした。

向いている人/向かない人

  • 向いている人
    • 主体的に行動できる
    • 何ごとも自分の責任として受け止め、改善できる
    • 自由と責任をセットで受け入れられる
    • 工夫や改善を考えることが苦にならない
    • やりたいことが明確にある
  • 向かない人
    • 自分から動くのが苦手
    • 考えることを避けたい
    • 安定した給与や福利厚生を手放したくない
    • 仕事とプライベートをきっちり分けたい
    • 他人のせいにしてしまい、文句や悪口を言ってしまう

自由は大きな魅力ですが、会社員とは違い、プライベートと仕事の境界が曖昧になり、1か月休みなしということもあります。
また、収入が不安定な時は支払いに追われることもあります。

結局のところ――
「自分が何を大事にするか」が答えです。
やりたいことがある人には、勇気を出して挑戦する価値があるかもしれません。

8. おまけ:専業配達員あるある(共感を生む)

・帰ろうとすると、なぜか逆方向の注文が入る

・階段4階登らなければならない案件が、なぜか連発する

・急いでいるときに限ってエレベーターが1階にない

・ガソリン特売日は給油口ギリギリまで入れたくなる

・1年がとにかく早く過ぎる

・トイレを我慢しがち

・夏は日陰の待機スポット探しが日課

・マクドナルドの場所に詳しくなる

・気づけば数日間、人とまともに会話をしていない

・経費入力を後回しにして、確定申告直前に地獄を見る

・大規模イベントの日は、広範囲の交通規制があるからあまり嬉しくない

・感じの良い店員さんのいる店には、ついプライベートで食べに行きたくなる

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